
完全なEU向け製品情報ファイル(PIF)完備の重要性
欧州市場で販売中の化粧品ブランドへの警鐘
| はじめに 多くの化粧品ブランドが、EU規制要件を完全に満たさないまま欧州市場への参入を開始しています。特に小規模ブランドは、適切な安全性評価を行わずに、または最低限の評価しか実施しないままリスクを冒すケースが少なくありません。こうした状況は深刻な問題として認識されており、ついに当局も動き出しました。 また、規制コンサルタントの中には、完全な安全性評価 - CPSRを実施しないケースも見受けられます。弊社では、最低限の成分リストや書類のみを要求し、安全性の確認を原料レベルではなく成分レベルにとどめる規制コンサルタントが存在していることも認識しています。これらのコンサルタントは、原材料メーカーの情報や試験の実施も要求してきません。原材料の詳細なしでは、EU化粧品規則1223/2009に基づく化粧品安全性のコンプライアンスを確認することはできません。もしご利用のコンサルタントがここまでの確認を行っていない場合、PIFは当局の監査にパスできない可能性があります。 |
DGCCRFによる監査結果
2026年初頭、フランスの消費者保護機関であるDGCCRFは、小規模化粧品ブランドを対象とした監査結果を公表しました。その内容は非常に深刻なものでした。
| 147 化粧品ブランドを調査。 うち90%が小規模・零細企業 | 200件以上 製品情報ファイル(PIF)監査 | 60社 行政処分または刑事手続きの対象となった企業数 |
今回の監査は、ソーシャルメディアやEコマースを通じて急成長した新興・小規模事業者を重点ターゲットとしています。監査の結果、大多数の事業者において規制要件への理解と対応が著しく不十分であり、多くの事業者が、知らないうちに重大な規制違反を犯していた実態が浮き彫りになりました。
| 主な監査結果 監査対象企業のほぼ半数において、PIFの中で最も重要な書類である製品安全性報告書(CPSR)が完全に欠如していました。それ以外の多くの企業でも、PIFの内容が不完全・不整合・未更新であったり、製品の販売開始後に作成されていたりするケースが確認されました。 |
PIFとは?なぜ重要なのか
EU化粧品規則(EC)No. 1223/2009に基づき、EU市場に流通するすべての化粧品は、販売開始前に製品情報ファイル(PIF)を作成しなければなりません。PIFは任意ではなく、形式的なものでもありません。法的義務であり、当局は必ず確認します。
完全かつ適合したPIFには、以下の内容が含まれている必要があります:
- 化粧品に関する説明
- 完全な化粧品製品安全性報告書(CPSR)※成分レベルだけでなく、原料レベルまで実施
- 製造方法の説明およびGMP適合宣言
- 製品の効能訴求に関するエビデンス、立証資料
- 動物実験に関するデータ(該当する場合)
責任者 (RP - Responsible Person ) とは
EU規制では、EU市場に流通するすべての製品に対して、責任者(RP)を指定することが義務付けられています。EU域外のブランドが、自社ウェブサイト・オンラインマーケットプレイス・ディストリビューターなどを通じて欧州で販売する場合、EU域内に責任者を指名する必要があります。そして、同責任者は、規制コンプライアンスに対して法的責任を負い、PIFを保管・管理する主体となります。
違反時の措置
| 実際に行われた行政措置 PIFを提出せず、当局の呼び出しにも応じなかった3社については、ウェブサイトおよびSNSアカウントのブロック・制限措置が取られ、製品の販売が実質的に停止されました。 さらに60社が正式な行政処分または刑事手続きの対象となり、56社には公式警告が発せられました。オンライン販売のみであっても、免除にはなりません。 |
「手作り」「天然」「ナチュラル」は免除の理由にならない
DGCCRFの調査が示す最も明確なメッセージの一つは、「小規模・手作り・天然・ナチュラル」であることはEU安全規制の免除理由にはならないということです。規制は、企業規模・販売チャネル・製品の訴求方法に関わらず、すべてに対して平等に適用されます。つまり、SNSで人気を集めたブランドも、大手メーカーと同様に法執行のリスクにさらされています。
化粧品ブランドへのアラート
EU向けに化粧品を販売している、または販売を検討しているなら、今こそコンプライアンスの現状を見直すべきタイミングです。まずは以下の点を確認してください:
- EU市場に流通しているすべての製品に対して、完全かつ最新のPIFが存在するか?
- 安全性評価は、成分リストのみならず原料レベルで実施されているか?
- EU圏内に責任者(Responsible Person)を指定しているか?
- CPNP(化粧品製品届出ポータル)への製品届出は完了しているか?
- INCIの表示を含め、EUのラベル要件に完全に準拠しているか?
| 結論 規制コンプライアンスは欧州市場参入の障壁ではなく、その基盤です。早期にコンプライアンスを確立したブランドは、自社・顧客・そして世界最重要の化粧品市場の一つにおける成長機会を守ることができます。 |
出典:DGCCRF「Cosmetiques : des TPE nouvelles dans le secteur qui meconnaissent trop souvent la reglementation」2026年2月。economie.gouv.fr

