欧州での販売において必要な規制対応とは?

キャンドルとルームディフューザーの市場規模は年々拡大し、安定性した成長率を示しています。このため、これらのフレグランス雑貨にまつわる規制の状況について常に情報を得ることは極めて重要です。ここでは、具体的な規制についてて説明しながら、これらの製品を欧州市場で販売するための効率的な戦略についてご説明します。

有害混合物のPCN通知とUFIコード

物質と混合物の分類、表示、包装を規定するCLP規則1272/2008 は、これらの製品に関する重要な規制枠組みです。この規則は、特定の物質や混合物に関連する危険性を毒物管理センターに迅速に知らせるための電子システムを導入しています。この迅速な情報共有により、メディカルな緊急事態への即時対応が可能となります。

このシステムの中核をなすのが、ポイズン・センター・ノーティフィケーション(PCN)であす。PCNへの届出は、混合物の組成を詳細に示す標準化された伝達手段です。これらの届出は、指定されたフォーマットで欧州化学物質庁(ECHA)に提出され、固有式識別子(UFI)コードを含む必要があります。UFIは16桁の英数字コードで、製品のラベル上や付近に表示しなければなりません。このコードは、関連する健康被害に対応する医療専門家と製品の詳細を直接結びつけるため、届出プロセスにおいて極めて重要です。

さらに、CLPの第45条は、健康上の緊急事態への対応に関連する情報の受領と管理を担当する指定機関の設置を義務づけています。

第45条に基づく従来の通知制度

従来、第45条の義務は、特に健康上の緊急事態における医療ニーズに対応するための予防措置の策定が中心でした。この制度は主に、企業が市場に流通させた製品に関する情報を収集し、毒物管理センターを設置するために利用されました。これらのセンターは、健康上の緊急事態の際に医学的助言を提供することを目的としていました。

しかし、第45条の通報制度にはいくつかの欠点がありました:

この制度はEU全体で調和されていませんでした。この統一性の欠如とは、EUの複数の国で製品を販売する企業は、各国に個別通知する義務が発生しました。さらに、国ごとに要求される情報が異なっていたため、企業が行う手続きが複雑化していました。それぞれの製品について、どこで、どのような情報を提出すればよいのか、情報の把握が大変でした。例えば、イタリアではISS(Istituto Superiore della Sanità)のDangerous Preparations archiveに、ドイツではBfR(Bundesinstitut für Risikobewertung / German Federal Institute for Risk Assessment)に、フランスではフランスのNational Products and Composition Database(B.N.P.C.)やFrench Poison and Toxicovigilance Centre Network(Synapse)などに届け出る必要がありました。

このバラバラなアプローチは、異なるEU加盟国の規制を遵守しようとする企業にとって大きな課題となり、EU全体でより合理的で調和のとれたシステムの必要性を浮き彫りにしました。

規則542/2017とその改正:有害性のある混合物届出の効率化

CLPの附属書VIIを改正する規則542/2017は、有害性のある混合物通知の安全性と効率性を高めるための重要な変更をもたらしました。これらの変更には以下が含まます:

  • 新しいポイズン・センター届出けフォーマットの導入:この新しい形式は、EU全域での通知を標準化し、複数の加盟国で事業を展開する企業のプロセスを簡素化することを目的としています。
  • Unique Formulation Identifier(UFI)の導入:2025年以降、危険な混合物を含むすべての製品のラベルにUFIを表示することが義務付けられます。この16桁の英数字コードは、緊急事態における迅速な識別に不可欠であり、迅速な対応を可能にします。
  • 毒物センターへの通知プロセスの変更

規則542/2017は、その制定以来、2つの重要な改正が行われ、届出プロセスがさらに改良されました:

  • 最初の改正である規則11/2020は、UFIコードの施行日を延期しました。この延期は、企業が新要件に適応するための追加時間を提供することを意図したものです。
  • 第二次改正である規則1677/2020は、いくつかの革新を導入しました。これには、CIGの概念の導入、特注塗料に対する特別譲許、その他届出手続きの合理化を目的とした措置が含まれます。
規則542/2017の実施スケジュール

規則542/2017は以下のように適用されます:

  • 消費者用および業務用の新しいブレンドの場合:2021年1月1日から。
  • 工業用混合物の場合:2024年1月1日から。

イタリアのISSのように、旧来の国家制度で届出済みの混合物は、2025年1月1日までの経過措置期間を利用できます。しかし、2021年1月1日以降に混合物の最終的な分類に影響を与える配合や物性に変更が生じた場合は、UFIの割り当てとともに、附属書VIIIに沿った新たな届出が必要となります。さらに、UFIの付与が義務付けられていない混合物については、自主的にUFIを付与することも選択肢の一つです。

通知およびUFIコード貼付の責任

更新された制度では、製造業者、輸入業者、製剤業者、再ラベル貼付業者は、製品が市場に出回る前にUFIコードを通知し、貼付することが義務付けられています。これは、市場投入後30日以内であれば届出が可能であった従来の制度からの変更点です。保管や再販に携わる流通業者は、この届出義務から免除されますが、サプライチェーン全体の効果的な情報交換を確保し、CLP遵守において重要な役割を果たしています。

UFIコードおよびPCN通知の適用範囲

UFIコードとPCNの義務的通知要件は、製品安全データシート(MSDS)に詳述されているように、物理的および健康への影響により有害と分類される混合物に適用されます。これには、洗剤、殺生物剤、エアディフューザー、アロマキャンドルなどの製品が含まれます。

新システムが欧州以外のサプライヤーに与える影響

欧州以外のサプライヤーも、EU市場に製品を流通させる際には、上記の規制を遵守する必要があります。主な手順は以下の通りです:

  • UFIコードの通知と作成に責任を負う法人を任命
  • 届け出のために、混合物のできるだけ正確な配合を含む詳細情報を輸入者に提供

各物質の濃度範囲の記録には、特定の許容範囲があることに注意することが重要です。これらの許容範囲は、特定の危険性を持つ物質や低濃度の物質に対して特に厳しくなっています。従って、EU域外のサプライヤーとは、納品を進める前にこれらの詳細について十分に話し合うことが望ましいです。

PCN通知提出ポータル

2019年4月以降、PCN届出は欧州化学物質庁(ECHA)が管理する専用プラットフォームであるECHA Submission Portalを通じて提出する必要があります。このポータルは、PCN通知の進化する要件に対応するために継続的に更新されます。

キャンドルおよびアロマキャンドルに関する要件

化学的観点からは、キャンドルは芯を囲んだ「混合物」とみなされます。その結果、キャンドルは CLP規制 (分類、表示、包装) およびそれに対応するUFIコードとPCN通知の対象となります。キャンドルは主に非危険物のワックスで構成されており、グレードの必要はありません。キャンドルには通常、香りや色のついた添加物が
含まれており、中には有害なものもあります。十分に高い濃度で存在する場合、警告やピクトグラムが必要となる場合があります。

キャンドル製造業者のためのガイドライン

特定の訴求を行ってキャンドルを販売する際には、訴求立証のエビデンス資料を提供することが望ましいです。さらに、表示や製品の安全性など、安全面についても慎重に検討する必要があります。このような観点から、キャンドル製造業者に対して特に強制的な規制はありませんが、義務ではなく予防措置として一定の基準を遵守することが推奨されています。

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監査時のコンプライアンスと安心の確保

制裁措置を避け、当局による監査に備えるためには、製品のあらゆる側面を法令に適合させ、EU規制に遵守することが極めて重要です。私たちが欧州への輸出を検討されている企業にアドバイスできるのは、欧州での販売前に製品の安全性を徹底的に確認することです。これは、消費者の安全のためだけでなく、高額な罰則を避けるためにも不可欠です。Taobe では、お客様の製品があらゆる面で法令に完全に準拠していることを確認するための包括的なサポートを提供しています。

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