化粧品規則1223/2009は、特に第22条と第37条で検査活動について取り上げています。第22条は実際の検査プロセスに関するもので、第37条は罰則に関するものです。特筆すべきは、制裁を科す責任は各加盟国にあるということです。
当局が実施できる検査にはさまざまなレベルがあります。製品が製造される製造施設の検査から、欧州の販売業者の本社の精査まで、その範囲は多岐にわたります。そして、これらの検査の対象となる場所は、常に化粧品のラベルに記載されている住所です。当局は、スーパーマーケット、ドラッグストア、化粧品店などの小売店でも製品を検査することができます。さらに、税関のようなEU圏への入り口となる場所でも検査が行われることがあります。
検査活動は、コミュニティラピッド情報システム(非食品用)として知られるRapex システムへの通知に基づいて開始されることが多いです。同システムは、欧州の消費者を危険な製品から守る上で極めて重量な役割を果たしています。
RAPEXシステムの概要
RAPEXは、有害である可能性のある消費者製品 (食品、医薬品、殺生物剤を除く) に関するEUの早期警告システムです。その目的は、消費者の健康と安全に重大な脅威をもたらす製品やサービスについて、欧州委員会とEU加盟国の国家当局に迅速に警告することです。RAPEXの語源は「RAPid EXchange of information system」です。
この制度は、2001年12月3日に欧州議会と欧州理事会が定めた指令2001/95/ECによって制定されました。この指令によれば、欧州市場で販売されるすべての製品は、指令に定められた安全ガイドラインを遵守しなければなりません。化粧品や衣料品から玩具や電化製品に至るまで、ある製品が危険であると証明された場合、該当する国の当局が介入します。その措置には、製品の市場からの撤去、輸入の停止、すでに消費者に流通している製品のリコール、警告の発表などが含まれます。
脅威が確認されると、各国当局は欧州委員会、特に保健・消費者保護総局に報告し。欧州委員会は、リスクと潜在的危害を軽減するための措置の両方を通知されます。
欧州委員会は毎週、受け取ったすべての届出の詳細をまとめた報告書を作成しています。この報告書はオンラインで一般に公開されており、関心のある人は、市場から撤去されたさまざまな製品を閲覧し、責任を負う事業者に課された罰則について知ることができます。
インスペクションにおける重点項目:当局は何を検査するのか?
定期的な検査では、主に化粧品のラベルが検査されます。ラベルが意図された市場の言語で書かれているということは極めて重要です。
具体的には、ラベルの表面に記載されているすべての必須情報の有無が評価されます。ラベルの製品に関する注意書きについては、特に注意が払われます。
- 特定の成分に応じてラベルに表示しなければならないすべての文言が記載されていること
- 最近、化粧品規制の附属書IIに含まれた(つまり禁止入り)成分が含まれていないこと
- 特定の成分の上限値または下限値、またはそれに関連した注意書きが記載されているか。
- 主張される効能訴求が具体的な証拠によって裏付けられているか(化粧品の効能訴求に関する規則655/2013、および付属のガイドラインに従っているか)
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化粧品規制1223/2009を考慮しなければならない多くの側面があります。
次に、精査の対象となるのは、ラベルに記載されている公称重量の評価です。申告された含有量と実際の含有量が一致していることを確認することが不可欠です。不一致の例はいくつかありますが、1976年1月20日の指令76/211/EEC(特定の包装製品の重量または容量に関する加盟国の法律の整合に関するもので、化粧品規制にも適用される)は、一定の誤差を許容しています。しかし、大幅な逸脱は重大な問題となりえます。コンプライアンス違反の場合、責任者は市場詐欺の疑いに直面する可能性さえあります。したがって、製品がブランドによって直接充填されていない場合は、化粧品の適正製造基準 – GMP を遵守している信頼できるパートナーと協力することが極めて重要です。
実際、起こりうる特殊なシナリオは、たまたま製造メーカーでもある責任当事者の施設で検査が実施される場合です。このような場合、当局はラベルの詳細を検査するだけでなく、ISO 22716規格に規定されている適正製造規範の遵守を確認します。つまり、施設の清潔さ、従業員への研修、登録など、さまざまな要素が評価されます。
このような厳格な検査プロセスを踏まえると、信頼できる製造メーカーと提携することの重要性が浮き彫りになります。検査が行われる場合、これらのパートナーは必要な保証を提供できるか、少なくとも、製品情報ファイル(PIF)を正確に作成し必要時にはEU当局に提供できなければいけません。当局のインスペクションは、書類チェックにとどまらず、製造工程全体とその規格への準拠にまで踏み込むことができるのです。
最初の検査で懸念事項が見つかった場合はどうなるのか?
製品ラベルの最初の検査で当局が疑念を抱いた場合、より詳細な検査が行われることがあります。責任者は追加書類の提出を求められるかもしれません。このような場合、EU向けに作成された製品情報ファイル(PIF)の提示が必須となります。これは、欧州化粧品ポータルサイト(CPNP)への登録確認とセットでなければなりません。
最初は、検査官は PIF と CPNP登録の有無を確認することに重点を置きます。しかしRAPEXシステムへの報告をきっかけとなり、全文書の確認が求められた場合、責任者はさらなる書類を提出する必要があります。この書類は、化粧品規則のすべての規定とSCCSのガイドラインを遵守し、細心の注意を払って作成する必要があります。規制当局から任命された技術専門家は、これらの書類の詳細を徹底的に調査し製品の安全性評価を行います。
コンプライアンスに違反している場合
検査中にコンプライアンス違反が発見された場合、その影響は、違反の重大度に応じて異なります。EU化粧品規制では、各EU加盟国の管轄区域内で 独自の罰則を設けることを義務付けています。従って、具体的な対応は、検査が実施された国により大きく左右されます。
制裁措置は行政上と刑事上の両領域にまたがりますが、責任者がすべての費用を負担して、非適合製品を市場から強制的に撤去させることもあります。
金銭的な罰則(罰金) は幅広く、数千ユーロから、数十万ユーロに達する可能性もあります。より深刻なケースでは、化粧品を市場に上市した責任者は禁固刑に処される可能性もあります。
オンラインや広告コンテンツへの適用は?
先述したすべての考慮事項は、化粧品に関連する広告物にも及びます。ウェブサイト、eコマースサイト、パンフレット、その他の宣伝や販売促進コンテンツのいずれにおいても、コンプライアンスを念頭に置いて作成する必要があります。特に、マーケティングの訴求に関しては、ウェブサイトやあらゆる広告資料を作成する際に、それが第一の焦点となることが多いため、極めて重要です。
このようなチャネルでは、検査や規制当局の監視の頻度や厳しさは物理的な製品に比べれば低いかもしれませんが、常にコンプライアンスを優先することが望ましいです。すべてのコンテンツ、特に効能訴求に関しては、信頼できる規制コンサルタントに審査してもらい、正確性と規制の遵守を確保することが非常に重要です。
イギリスにおける化粧品の規制義務を理解する
イギリスでも同様の規制があり、特にイギリスで消費者に提供されるすべての化粧品について、製品安全基準局(OPSS) への届け出が義務付けられています。
SCPN(Submit Cosmetic Product Notification)ポータルを通じて通知する場合は、以下の情報を提供する必要があります:
- ナノマテリアルを含む製品の成分
- 国家毒物情報サービス(National Poisons Information Service)または取引基準(Trading Standards)から連絡可能な人物の名前と連絡先
- 責任者の身元。これは、規制の遵守を確保する責任を負う個人または企業を指します。イギリス市場のすべての化粧品には、指定された責任者がいなければなりません。
化粧品についてOPSSに知らせなかった場合、罰金や最高3ヶ月の実刑判決に直面する可能性もあるため、注意が必要です。イギリスとウェールズでは、罰金は無制限になる可能性がありますが、スコットランドと北アイルランドでは、5,000£が上限とされています。
コンプライアンスの確認:規制当局の検査にどう備えるか
EU規制を遵守し、当局のインスペクションに自信をもって臨むためには、徹底した準備が必要です。化粧品を販売する前に、その組成、表示、各種資料の内容を綿密に評価することは不可欠です。これは、消費者の安全性を保証するだけでなく、法律への違反を防ぐことにもつながります。
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