安定性試験について知っておくべきすべてのこと
化粧品を開発するプロセスには、お客様が購入するまでどれくらいの期間、商品が棚の上でもつのか、容器が化粧品の調合物に適合したものになっているか、どのような条件で商品を保管すればいいのか等、商品の長期的な安定性に関して答えが必要となる極めて重要な質問があります。
これらの質問に答えるには、安定性試験を実施するしかありません。安定性試験とは、製品が安全で販売に適した性質を維持しているかを確認するため、その商品について一連の試験を所定の期間、実施するものです。
とは言っても、安定性試験の要件とは、どのようなものなのでしょうか。どれくらいの期間、製品を試験する必要があるのでしょうか。結果をどのように解釈すればよいのでしょうか。
同記事で、安定性試験についての詳細をご説明します。併せて有効な安定性試験を実施するための明確なガイドラインをご紹介します。
化粧品の安定性試験とは?
まず、安定性のある化粧品とは、製造日から決められた時までの期間、変質や化学反応を起こすことなく、同じ状態でいられる、すなわち同じ性質を維持できる製品のことです。
このような変質や化学反応は、決められた温度と相対湿度の条件下で化粧品サンプルを保存する安定性試験プログラムを実施することで検出が可能です。製造業者が示す期間(品質保持期間)にわたって製品が安定に維持されるかを確認する目的で、化粧品の特定の性質を経時的に評価します。
安定性試験では以下のことがわかります。
- 製品が安定かどうか
- 成分間に相互作用があるかどうか、選ばれた成分が適切で、成分同士がうまく共存し、互いに反応しないかどうか
- 包装材と調合物との間に相互作用がある場合、包装材に含まれる物質が調合物に移行しないかどうか、逆に調合物に含まれる物質が包装材に移行しないかどうかの確認。包装材は光や外環境から調合物を適切に保護するものであることも必要
- 時間の経過とともに望ましくない変化が起こるのを防ぐには、どのような条件で製品を保管すべきか
- 貴社の製品が、お客様が購入するまでの間どのくらいの期間、商品棚に置かれていても使用に問題ないかの推定を示す品質保持期間
化粧品に付与される品質保持期間は特別に重要な情報です。製品ラベルに使用期限を記載するのか、もしくは PAO (Product After Opening =開封後の期限)を記載するかが決まるからです。
※PAO表示のご相談はこちらまでどうぞ
化粧品の適合性試験とは?
適合性試験は、ある期間にわたる製品の調合物と最終包装物(容器)との間の適合性を確認する目的で実施します。製品に含まれる成分が包装素材と適合するかを確認するわけです。本試験は化粧品の安定性試験の一部です。
ここに、適合性試験中に起こりうる現象をいくつか紹介します。
- 漏れ
- 製品または包装の性質変化(外観、色、におい、pH など)
- 包装の完全性の変化
- 腐食の兆候
時間短縮のため、適合性試験は、安定性試験と並行して実施することが推奨されています。そのためには最終包装物に入った状態でサンプルを試験する必要があり、それが壊れないか、漏れないか、外観が変化しないか、あるいは調合物の外観が変化しないかを確認するため、別々にモニターする必要があります。
安定性試験と適合性試験が必要な製品とは?
すべての化粧品は、長期的な安定性を確認するために、必ず安定性試験が必要となります。さらに、安定性試験は、化粧品の適正製造基準(GMP)の必須部分となっています。このことは、製品の開発段階で試験を実施する必要があることを意味します。これらの試験は、EU化粧品規則(EC)1223/2009で要求される化粧品安全性報告書 – CPSR (Cosmetic Product Safety Report) の作成にも必要です。これはセーフティアセッサーがレビューを行う評価のひとつで、製品の安全性を判断するためのものです。
最後に、化粧品がそのライフサイクル期間を通して安全で変化しないことを保証することは、消費者の忠誠心を獲得し、ブランドによい評判を築くために重要となります。結局のところ、効果があってよくできた安全な化粧品に勝るものはありません。
安定性試験/適合性試験を実施するための要件とは?
まず、製品の「品質保持期間案」を設定する必要があります。これは、別の言葉で言うと、製品がその性質を維持し、有効性と消費者への安全性が維持されると期待される期間のことです。
品質保持期間案を与えた後、最終包装(容器やチューブなど)を施した化粧品の製品サンプルを、さまざまな温度および相対湿度の条件下で保存してインキュベートしなければなりません。
安定性試験は、これらの条件に基づき、いくつかの種類がありますが、製品は少なくとも以下の試験を受けなければなりません。
- リアルタイム安定性試験(長期安定性試験):この試験は、その名が示すようにリアルタイム、つまり製品に提案されている品質保持期間の全期間にわたって実施します。例えば、製品の品質保持期間が2年に設定されている場合、この期間を通して安定であることを確認するため、リアルタイム安定性試験は2年間にわたって実施する必要があります。これが製品の品質保持期間を判断するための最も包括的で信頼性の高い試験です。
- 加速安定性試験:この試験は、化粧品を劣化させる可能性のある化学反応を加速し、長期的にどのような挙動を示すかを予測することを目的として、高温条件下で実施します。EUでの化粧品登録に必要となる評価では、加速安定性試験でのデータを使用できます。ただし、このデータは必ず長期安定性試験によって裏付ける必要があります。
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どの製品にどのテストを行うのか?
一般的に、確認すべき項目は、製品を発売するために確認した項目(製品のテクニカルデータシートや分析証明書に詳述されているもの)と同じで、そこに製品の包装材との適合性を確認するいくつかの項目(重量減少%、外観と完全性、目に見える漏れなど)を追加します。
安定性試験は外部の研究所で行う必要があるのか、それとも社内で実施できるのか?
安定性試験は、各試験を実施するために必要なすべての機器を備えた研究室があれば、社内で実施することができます。加速安定性試験および長期安定性試験は、弊社でもお受けしています。お見積りのリクエストはこちらからどうぞ。
安定性試験について、また欧州の安全性評価全般に関してご質問
Taobé Consulting は、欧州化粧品規制 1223/2009 について、あらゆるアドバイスを行っています。お気軽にいつでもご相談下さい。