ご登録、必要資料、EU規制に関する Q & A
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欧州での化粧品登録にかかるリードタイムはどのくらいですか。
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リードタイムは、いくつかの要件によって変わってきます。
- 必要資料の提出にかかる時間
- 成分チェック後の処方の組み換え(代替成分)の必要性
- 必須試験の結果を既に入手済みか (安定性試験/適合性試験, 保存効力試験、他必須試験)、または追加試験の必要性
ご登録にかかる日数は、成分チェック、そして安全性評価の結果によって大きく変わってきます。一般的に、成分チェック後、そして安全性評価後に追加資料が必要となったり、クライアントさま側でなんらかのご対応が必要となる場合が多いです。代替成分への変更、処方の見直しが必要となりご対応頂かなければならないケースも少なくありません。
さらに、必要となる資料の大半は、製造メーカーさま、そして原材料メーカーさまより提出して頂くため、これらの企業様よりどれだけ迅速なご協力を頂けるかにもよります。処方内容、資料収集にかかる時間、その他さまざまな要件によってリードタイムは異なります。
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EU化粧品登録を自社では対応できないと聞いたのですが、なぜできないのでしょうか。他国の規制には、社内にて対応してきました。
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EU化粧品規制 1223/2009に準拠するために必要となる安全性評価 (CPSR) において、製品の安全性について最終評価できるのは EU認定のセーフティアセッサーのみとされています。EU向けのPIFで最も重んじられているのが、この安全性報告書の作成です。EU認定とは、EU加盟国で認定されている薬学や医学専門の専門課程を修了していることを意味しています。
また、安全性評価を行うために必要となる成分チェックにおいて、各成分の毒性チェックを実施する必要があります。毒性評価には、EU規制に対する理解、そして高い専門知識を持つトキシコロジストを必要とします。
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処方に関する詳しい情報や機密性の高いデータをすべて開示することに躊躇しています。
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貴社の処方に関する大切な機密資料を提出するのをご心配されるのはよく理解しております。
機密情報だけに限らず、すべての情報は弊社にて細心の注意をはらって管理しておりますのでご安心ください。当社の認定セーフティアセッサーをはじめ、プロジェクトにかかわるすべての担当者は、弊社と秘密保持契約を締結しています。また、当社では独自に開発したセキュリティの万全なポータルサイトを構築しており、運営も自社で行っております。機密情報を含むすべての資料は、セキュリティ完備のポータルへアップロードして頂きますので、一切外部を通すことなく、貴社と弊社間のみで完結します。
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欧州の規制はとても厳しいと聞いており、全必要資料が集められるかどうか、無事に登録ができるのか懸念しています。
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確かに欧州の化粧品規制は他国に比べて非常に厳しく、その規制に遵守した製品の届け出を出すまでの道のりは容易ではありません。
当社は、日本の化粧品ブランドさまが少しでもスムーズにご登録を行うために、あらゆる対応ができる体制を整えています。他社に登録を依頼し、途中で挫折されたブランドさまが、弊社にて再チャレンジし、無事に製品登録が完了した事例もあります。ご心配なことがありましたら、まずは一度お気軽にご相談ください。
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現在欧州での化粧品登録を行わずに、化粧品をEU圏へ輸出しています。特に問題なさそうなのですが、登録は必要でしょうか。
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欧州の法令 - 化粧品規制 (ec) No. 1223/2009 により登録は必須となっています。
欧州では、化粧品の安全性に対する消費者の関心はますます高まってきています。消費者は、化粧品製品のクレームを、化粧品協会や消費者センターを介して報告できます。
当局から監査が入り、EU規制に遵守せずに欧州で化粧品を上市していることが判明した場合、各国で多額の罰金や、場合によっては商品回収(リコール)の対象となることもあります。化粧品規制の違反に対する制裁措置は、EU加盟国により異なります。
例えばイタリアは、EU化粧品規制 1223/2009 の第10, 11条で必要とされている安全性評価、PIFを作成していない場合の罰金は、最大100,000€と公表しています。また、第3条の「通常の使用条件または合理的に予測可能な使用条件下で使用される場合、人の健康に対して安全でなければならない。」に準拠していない場合、最悪のケースでは、懲役 1~5年とされています。
また、スペインでも、制裁として 6,000€ から最大 600,000€ のペナルティが設けられています。
欧州の消費者は安全性に対して非常に意識が高いため、EUの法令に遵守し信頼性を高めることは大変重要です。
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EUでの化粧品販売に必要となるのは、EU化粧品規制 1223/2009 への遵守だけでしょうか。
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化粧品販売に適用されるその他の規制で、包装と包装廃棄物に関する94/62/EC指令も、近年強化されています。同規制は、各国によって独自の法令が出されているため、欧州での販売国によって表示すべきシンボルマークも異なり複雑です。通常、同規制に対する義務は現地のインポーターにあります。輸出の開始前に必ず現地インポーターへ確認し、どのようなシンボルマークの表示が必要になるのか確認する必要があります。
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処方に関する成分データを開示せずに、欧州における化粧品登録を行うことは可能ですか。
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欧州規制(EC)No 1223/2009、付属書I にも明記されているとおり、安全性評価を実施する際には成分の詳細データが必要となります。
3.1. 化粧品の量的および質的構成
化粧品安全性報告書のこのセクションの目的は、原材料をはじめ最終製品の正確な量的および質的組成を提供することです。 原材料とは、化粧品の製造に使用される物質または混合物を意味します。
処方を開示しない権利を有する製造メーカーは、香料製造メーカーのみです。
これらの処方はトレードシークレットとみなされています。香料の場合、 IFRA証明書とアレルゲン報告書の提出が必要になるのはこのためです。
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欧州での責任者は、欧州側のディストリビューターを指名したいのですが可能でしょうか。
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代理店やディストリビューターを 欧州内の責任者として指名することは可能です。
ただし、責任者としての条件が求められることになります。たとえば、EUやUK当局からの監査時にはPIFを開示して専門的な対応が必要となることがありますので、責任者として指名される企業がこれらの対応が可能かを確認する必要があります。 また、欧州でのディストリビューターや代理店を責任者に指名した場合、これらの企業に貴社の機密データが含まれるPIFを預ける形になりますので、情報の漏えいには十分に気を付ける必要があります。
EU, UK 責任者に関する詳細はこちらからご覧ください。
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欧州への化粧品輸出に向けて、EUのデータベースで成分を確認したところ、すべてクリアーしていました。成分が適合していれば、そのまま輸出しても問題ないという認識ですが合っていますか。
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EUのデータベースで成分の適合性を確認するのは最初のステップです。
しかしEU規制では、データベース上で成分が適合しているからEU規制に準拠しているとは断定できません。EU規制に準拠するための安全性評価を行うために、各原材料の毒性の評価を行い、成分に不純物 (重金属、CMR物質等) が含有されていないか詳細を確認する必要があります。データベース上で成分の適合性が確認できたからと言って、EU規制に準拠しているとは言い切れません。実際にこれまで弊社では、「EU規制はクリアしている」とお伺いしていたブランド様の安全性評価を行い、実際にはクリアできていなかったケースも少なくありません。
また、成分だけでなく、欧州では製品ラベル記載についても厳しい規制があります。製品ラベルの記載内容は安全性評価 (CPSR) によって決定します。
詳細はお気軽にお問合せ下さい。
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欧州への化粧品輸出には、動物実験に関する資料が必要と理解しています。原材料メーカーから資料を入手できない場合、何か方法はありますか。
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EU化粧品規制 1223/2009 に遵守するために、動物実験を実施している原材料が含まれているか確認する必要があります。動物実験に関する詳細を確認できない場合、欧州での化粧品登録を行うことはできません。ケースバイケースで代替案をご案内できる場合もあるため、弊社までご相談下さい。
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既に欧州のCPNPに化粧品を登録済みですが、新しいEUのディストリビューターから PIF を要求されています。PIFは必ずディストリビューターに共有しなければいけないのでしょうか。
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欧州の化粧品規制 - EC Regulation 1223/2009 では、EU規制に基づき作成された PIF を欧州の責任者 (Responsible Person) が保管しなければいけないとしています。(最後の製造バッチを上市してから10年間の保管)
一般的にディストリビューター、もしくは弊社のような規制コンサルタントのサードパーティが責任者となり、化粧品ブランドさまの PIF を保管します。つまり、貴社のディストリビューターが貴社の欧州での責任者の場合、EU規制に準拠するためには、最新の PIFを常に保管する義務があります。また、ディストリビューターが変更の場合は、その都度、PIFを移管する必要があります。
CPNPに登録するだけでは、EU規制に遵守しているとは言えません。欧州の法令に遵守するためには、EU基準を満たしているか化粧品製品の安全性を確認後、EU向けPIFを作成し、 CPNP に登録する必要があります。
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現在、自社サイトで欧州へ販売を行っています。インターネットで消費者に販売する場合にもEU規制への対応が必要ですか。
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EU化粧品規制 (EC) No 1223/2009は、越境Eコマースにも適用されます。
販売先が欧州の個人消費者であったとしても、欧州に向けて販売する限り EU規制に準ずる必要があります。
つまり、化粧品を欧州やイギリスの消費者に販売しているすべての越境Eコマースビジネスは、欧州の化粧品規制に準拠していなければなりません。
発送後に、欧州やイギリスの税関での検査時に商品が登録されていないことが判明した場合、発送した商品は税関で差し押さえとなる可能性があります。検査されても監査が行われないまま税関をクリアーしているケースでは、法律によって定められている欧州基準で安全性が確認されていないまま、欧州圏内の消費者に商品を提供していることになります。
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既にイギリスで化粧品を販売しています。UK代理人を現在のディストリビューターから貴社に変更することは可能ですか。
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可能です。弊社にて責任者の代理をお受けする前に、既存PIFの監査が必要となります。詳細はお問合せ下さい。
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ナチュラル(自然由来) の成分だけを配合しているスキンケア商品の場合でも、原材料に関する資料の提出は必要ですか。
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はい、必要です。天然由来の成分であっても、合成由来と同様に天然の多くは化学物質で構成されています。これらの化学物質の中には、皮膚や目を刺激するものや、吸入した場合、有害なものが含まれている場合もあります。人体への安全性を評価するうえで、天然由来の成分であっても原材料に関する分析証明書 - CoA や安全性データシート - SDS は必要となります。
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原材料に関する資料は、原材料メーカーではなくディストリビューターから入手した資料でも問題ありませんか。
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原材料に関する資料をディストリビューターや貿易会社から入手される場合は、必ず原材料の製造メーカー名、そして原材料名(製造メーカーからのオリジナル名 = トレードネーム)がこれらの資料に明記されるていることを確認して下さい。これらの情報が正しく記載されていれば、原材料メーカーではなく、ディストリビューターからでも提出可能です。
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化粧品の効能効果の範囲で訴求を行っています。欧州でも同じ広告表現を使用できますか。
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EU規制では、効能効果の訴求はすべて立証が必要となります。欧州では、現在日本で認可されている56の広告表現の多くは、エビデンスなしでは使用できません。ラベルと訴求チェックは単体でもお受けできますのでお気軽にご相談下さい。
原材料、配合成分、動物実験などに関する Q & A
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動物実験を行った化粧品は、欧州には販売できないのでしょうか。
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現在欧州では、化粧品製品および化粧品に含まれる原材料への動物実験は禁止されています。ただし、動物実験を行った時期や行った目的など、個々の状況により異なります。動物実験に関する詳細は弊社までお問合せ下さい。
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パーム油が配合されている化粧品は、欧州へ輸出できないのでしょうか。
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現在のところ、欧州へパーム油が配合されている化粧品を輸出し販売することは禁止されていません。しかし、パーム油はEU圏では倫理的観点から問題視されているため、欧州の消費者はエシカルではないという理由から、パーム油を含んでいる製品は避ける傾向があります。化粧品にパーム油を配合される場合は、サステナブルなパーム油であるか原材料サプライヤーに確認を取ることをお勧めします。パーム油についてのご相談はお気軽にお問合せ下さい。
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ヨーロッパに輸出したい化粧品に、動物性由来の成分が配合されています。欧州では動物性は禁止されていると聞いていますが、輸出はできないのでしょうか。
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動物性由来の成分は、禁止されているわけではありません。個々のケースによって状況は異なりますので、詳細に関しましては一度ご相談下さい。
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欧州には、スクワラン成分が配合されている化粧品は輸出できないのでしょうか。
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欧州では、植物性および動物性のスクワラン成分は禁止されていません。
もちろん安全性評価を実施する必要はありますが、原材料に関する資料を確認し欧州規制に準拠していれば、スクワランの配合された化粧品は販売可能です。
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ナノマテリアルの原材料を使用している場合、欧州では販売できないのでしょうか。
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ナノマテリアルは、使用目的によって必要な対応が異なります。禁止されているものもありますので、まずはナノマテリアルの原材料のデータを収集し安全性評価を行って判断する必要があります。また、使用されているナノマテリアルによっては、欧州にて上市する6か月前までに届け出を提出する必要があります。詳しくは弊社までご相談下さい。
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安全性チェックのために、動物実験を実施した原材料が含まれています。この化粧品はEUには輸出できないのでしょうか。
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欧州の化粧品規制 1223/2009 では、動物実験は禁止されています。動物実験を行った時期と目的についてご連絡頂ければ、専門家より対応策についてアドバイスさせて頂きます。お気軽にご相談下さい。
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動物性由来のコラーゲンが配合されている化粧品を欧州で販売できますか。
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動物性由来のコラーゲンを配合した化粧品は、安全性に問題がないことが確認できれば販売可能です。安全性評価のために、原材料に関する資料の提出が必要となります。詳細はお問合せ下さい。
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成分に微量の不純物 (CMR) が残留物として含まれています。この場合、欧州では販売できないのでしょうか。
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ケースバイケースで、微量の残留であれば認められる場合があります。しかし、正確に安全性評価を行うには、専門家が詳細資料を確認し評価する必要があります。